彼女と猫


「ほら、おいでおいで」
「にゃー」
「あ、来た。君はいい子だね。可愛い。
野良……じゃないね、きっと」
「ええ、野良じゃありませんよ」
「あ、貴方の猫、ですか?
すみません、勝手に遊んでいて」
「構いませんよ」
「お名前は?」
「それは、わたしの?それとも」
「え、えっと、お二人の」
「お二人……ね。
わたしは相模。
彼は、シオンです。
貴女は?」
「私は、茜。一条茜です」
「茜っ!」
「あ、隆二。
今行く!」
「お連れさんですか?」
「ええ。
それじゃあ、失礼します」
「ええ」
「じゃぁね、シオン君」
「にゃ−」
「それでは」

 *

「何してたんだ?」
「猫を見せてもらっていたのよ。
シオン君っていうの。
黒猫なのに目の下が小さい円状に白いの。
泣きぼくろみたい」
「ふーん。
……」
「何か気になるの?」
「いや……」
「隆二」
「……。
気のせいかもしれないんだ。遠くからだったし。
でも、
あの人は……人間じゃない気がした」
「まさか、人間じゃないとしたらなんだというの?」
「だから、俺と同じような」
「でも違うのでしょう?
貴方の仲間じゃない」
「ああ、それは」
「だったらきっと気のせいよ」
「ならいいんだが」
「そうよ、それにね
猫が好きな人に悪い人はいないわ」
「……はぁ」
「ちょ、何よ、今の!!」
「いや別に」
「別にじゃないじゃない、なんで笑ってるの!
隆二、隆二っ!」

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